« ビジネスロージャーナル「ITベンダ対ユーザ システム開発契約をめぐる紛争」 | トップページ | 日本の瓦 飛鳥時代→奈良時代 »

2010年12月31日 (金)

2010年雑記

大晦日なので、今年2010年に読んだ本や気になったことなどを書いてみる。読んだ後とかにブログに書こうと思いながらも、書くタイミングを失ったものが多い。(一部既に書いてることがあったら、ごめんなさい。)

・プリウスリコール

1月とか2月に話題となった、ブレーキの件。あくまでブレーキの件。個人的には、今でも(本来のリコールの定義で)、当初ブレーキの問題がリコール扱いに該当するか疑問という考え。

良い勉強になったのは、まずはマスコミでの扱い。結構細部まで内容を記載するマスコミもあれば、品質問題とか安心・安全に十把一絡げの所も。同じマスコミの会社や媒体でも、記者によって扱い方が違うのも興味深かった。後は、学者先生とか業界人の意見も色々。**さんは、そんな思考だったのかと人物像なりを考え直すこともあった。なお失敗学の畑村さんなどによる講演(パネルディスカッション)は、個人的には良かったとの印象。

トヨタの「グローバル品質特別委員会」設置や、その様子のビデオ公開など、消費者や世論へのアピールの動きは、当初少し驚いた。特に後者は、そこまでやるのかな~との印象。(くどいけど、あくまでプリウスのブレーキの件。) ただし今後のこの類の対応として、大なり小なり他の製造業の会社でも必要になってくるだろう。その意味では、注目しておこうと思う。


・トラブル対応としてのポイントバック

ソフトウェアトラブルおよびその対応で今年気になったのは、ネットゲームなどネット系アプリのトラブルの対応としてのポイントバック。従来慣れ親しんだ(製造業での)商品の場合は、返品とか返金に該当する対応。

ネット系のアプリケーションの場合は、そもそも”品”が存在しないし、無料の場合が多い。ただし、ゲームの場合は、”ポイント”が溜まったり、実貨幣でポイントを購入できるものもある。その場合のソフトウェアトラブルの損害とその代償をどう考えたらよいかと思っていた。

今年、ちょっと目に付いたのは、ポイントバックとか、ネット上の仮想商品の供給。

あくまでケーススタディとしての例示だけど、3月にmixiでのゲームアプリ「サンシャイン牧場」でゲームアイテムの個人掲示板が使えないトラブルが発生した。その個人掲示板は、ある意味有料のアイテム。不具合の修正も行われたが、無料で購入できるとすると共に、既に有料で購入した人には別アイテムがサービスされた。いくつかのキーワードで検索するとたどりついたり、キャッシュを見ることが出来るはず。

システムなりサービスを設計する際には、トラブル時の対応も考えた方が良い。その対応は、そのシステム/サービス内に入れ込むものもある。予備システムなどは典型例。他に、そのシステム/サービス”外”に設けるものもあるだろう。人手での代用も一つ。個人的には、システム設計の際に、トラブル時にシステム/サービス”外”の対応や必要ならその部分の検討を行うべきだと考える。

ちなみに、危険の大きさと効用の大きさを比較することが良く行われるが、あまりに数値的のみの比較での弊害として「フォード・ピント事件」があるので、留意。(危険の大きさとしては、このサイトでは残存バグの可能性が分かりやすい。ただし、「フォード・ピント事件」での危険は、車での構造欠陥。)


・電子書籍

今年は、iPadの購入を機会に、今までのドキュメントファイルの整理や紙情報→スキャンファイル化を結構行った。本のスキャンに関しては、どっか近くのコピーショップで行えればいいな~と探したり問い合わせしたけど、実際は見つからなかった。先々スキャンサービスの利用や、離れたショップの利用なども検討したい。


P6260019P6270023左側2つの写真は、購入した裁断機と裁断結果の様子。こんなものもAmazonで販売してて、Amazon経由で購入した。

実験兼ねて本や雑誌の裁断を行ってみたけど、2つ折りの雑誌が結構難しい。折ってあるところが三角形に近くて、そのまま裁断しようとするとずれていく。広げて、真ん中で裁断しようとしてみたけど、丁度真ん中だと裁断機の刀とホチキス部分がぶつかるので出来ない。少しずらそうとするにも、位置合わせが少し難しい。結局2つ折りの雑誌は、(今のところ)従来のようにカッターナイフで切断してる。

裁断機を利用しての自炊の経験から言うと、コンビニでコピーサービスとかがあるのなら、スキャンデータ渡しもやってくれても良さそうな気がする。まっ、媒体やネット利用可能とするかなど検討が多いのだろうか。ただ、調べた限りでは、カタログとかちょっとしたプリント物はスキャンサービスで利用不可。スキャナーを購入するほどでもない人達にとって有用だろう。

お試し的に、電子書籍をダウンロードしてiPadで読むこともやってみた。しかし、ダウンロード書籍に対する栞(しおり)やマーキングなどの機能でちょうど良いリーダーがなくて、つい遠ざかってしまった。個人的には、集中して読むなら、まだ紙の書籍の方が馴染む。

多少似ているが、日経新聞電子版も会員になっているが、プリントが制限されることで利用頻度はさほどでもない。会社からの帰りに、携帯で夕刊を読んでおく利用が一番多い。

また、 図書館でコピーが可能なのだから、電子データ渡しも検討して欲しいと思うようになった。デジタルデータなのが問題なら、低解像度にするとか認証などを設けても良いのかもしれない。少なくとも、一般的な書籍ではない例えば郷土史とか古文書とかなら課題は少ないと思うのだが。


・ソフトウェア進化

知り合いと、夏に少し話題となった。「ソフトウェア進化」に関する日本語論文もいくつかあるし、大学では「ソフトウェア進化工学」と称して工学的に研究しているところもある。イメージ的には、ソフトウェアプログラムがプログラム自身を自ら変更して機能を作り出すことや、ソフトウェアの外部変化への適応性がテーマになっている(と思っている)。

ただし夏での知り合いとの議論は、生物の進化と類似するのなら、生物進化そのものよりも、品種改良のような(人間社会にとって)能動的なことを検討した方が良いのかな~というもの。進化論学者さんの話よりも、農林水産試験場の研究員や園芸家のような人達の話を聞いてみたい感じ。有益そうなら、そのネタを仕込んで成長させてみるようなアプローチ。ソフトウェア進化よりも、ソフトウェア改良とかの言葉が良さそうに思えるとの意見も。ただし、「ソフトウェア改良」だと単なるデバッグみたいなので、用語的には一工夫いりそう。

あと知り合いとの議論では、DNAでの不要部分との類似性をどう考えた方が良いかも少し話になった。ソフトウェア進化ではそのようなものは、不要とか該当しそうな部分はなさそうと考えるのかな。あるいは、少しくらいバグがあったり、無駄と思える部分を用意してる方がいいかもとの話も。あくまで、DNAや進化論と類似性があるのではとの前提での話で、合意なり結論めいた話にはならなかった。


・社内伝道師(エバンジェリスト)

今年、ちょっと引っかかったのが「○○さんは、エバンジェリスト、、、、」という言い方。もちろん会社によっては職位として”エバンジェリスト”がある会社があるけど、そんな会社の人達とのやり取りじゃない。各自の会社でのスタッフ部門の人なり専門家の人の説明でのこと。

引っかかるのは、自分の周りでは尊敬の意味でが9割くらいだけど、残りが融通が利かないような意味で使われてる点。後者は一方的な説明だったり、別の考えとの妥協点を探ろうと相談してるのにその専門分野での考えを譲ろうとしない。また、各分野の説明をする時は良いんだけど、(分野間で多少矛盾する時に)その人なりの考えの統一性に欠けることもあるとも。それらにより、ある意味、弊害になることもあるらしい。

そんなことを気にして、伝道師(エバンジェリスト)と呼ぶより、 お坊さんとか小坊主、納所坊主(なっしょぼうず)など呼んだらいいのにと思った。伝道師が一神教系での用語で、他の考えを受け入れないイメージもあるためだ。日本でクリスマスや初詣を行うように、多神教系の言葉の方が良さそうに思えた。ただし、納所坊主って寺の会計とかを取り扱うお坊さんと知って、ちょっと適さないな~と。お地蔵さんも良いんだけど、じっとしているイメージが強い。

ただし、そもそも伝道師って、正教師の資格を持たない人のことと知った。正教師は、牧師さんのこと。また、伝道師って、物事のよさを伝える人の意味もあるようだ。(本来卓越した人を会社でも”牧師”と呼んでも良さそうだけど、用語的に宗教っぽ過ぎるので使ってないのだろうと推察する。)

伝道師(エバンジェリスト)と呼ぶべき専門家なら、現場への普及で余りに強制的に/固定的な考えを押しつけるのは似つかわしくないと思うようになった。


・i○○○は日本で作れるか

今年の受講した講演でスポット的に触れられたり、懇親会で会話になったもの。iPodだったり、iPadだったりしたと思う。日本の競争力低下の原因探りみたいな面もあったのだろう。とある懇親会で、その話題になったので、以下のことを述べた。
 

①日本だって作れる。作れないのはAppStoreなどの方。
ハードは、日本でも作れるだろう。細かいこととしては、アップルと同様に中国などでの製造で、日本での製造じゃ製造価格が割に合わない。また、じゃA4のチップを設計できるかとかがある。しかし、いずれにしろ、日本メーカーは、AppStoreとか緩い著作権管理は、心理的に発想しにくい。さらに言えば、ハードウェアチームとソフトウェア(特にシステム/ITを含めた)チームが、日本企業では協力体制になることが考えにくい。

②作れても商品化に行き着かない。
特に品質部隊や関連部隊とか事業部長とかが、出荷OKと言いそうにない。自分でもiPad買ったときに驚いたけど、電源ボタンが無い、音のボリュームも無い。社内でのレビューで、こんな設計なら色々文句が出るだろう。他には、PCとの接続とかネットワーク接続が前提。PC持ってない人やネットワーク接続できてない人を考慮しないのか!と怒られそう。さらには、同梱の説明書が薄いというか紙切れ。これだってマニュアル部隊から総スカンになりそう。


・「ガラパゴス化する日本の製造業」

2008年発売で、長く積ん読状態だったもの。講演等で日本の特異性を”ガラパゴス”と呼ぶことが増えつつあった頃の出版だったと思うので、タイトルに”ガラパゴス”を題した本としては早いほうだったはず。(ただし当時、”ガラパゴス”の話とAndroidの話とを一緒に聞く機会が多くAndroid採用勧誘のような受け取り方をしたせいか、この本を含め”ガラパゴス”関連本をほとんど読まなかった。)

今年日本でも各社からスマートフォンが商品化された。そこでふと、”ガラパゴス”騒動ってなんだったんだろうかと思い、この本を読むことにした。

当初予想では、日本の特に携帯などの特異性が多く述べてあると思っていた。でも実際は、韓国や台湾の企業に関する事項が結構詳しく述べられている。また、ある意味では必然だが、エレクトロニクス業界を扱っている。第7章「世界で勝ち抜くためのビジネスモデル」では、7つの条件を挙げており参考になるが、エレクトロニクス業界に関してのもの。8章は自動車業界に触れており自動車業界の課題も書かれているが、エレクトロニクス業界との関連が主になっている。

世界で勝ち抜くための7つの条件の冒頭が、”すり合わせ”の技術が活かせる分野としている。実は以前から、”すり合わせ”と”組み合せ”の技術論での2つの違いで悩むことが少なくなかった。この本で、”すり合わせ”技術の業界として自動車や工作機械とのイメージが強まった。自分の中で、”すり合わせ”技術=自動車・機会(業界)、”組み合せ”技術=電気(業界)と捉えてすっきりした。その基本的な気づきができただけでも、結構価値があった。

なお著者は野村證券の主任研究員であり、海外の企業情報が詳しいのも頷けた。ODM売り上げランキングや、実効税率の台湾・韓国メーカーと日本メーカの比較なども記載されている。台湾や韓国を含めたエレクトロニクス業界を考える上で、参考になることが多かった。


・「『失われた十年』は乗り越えられたか」

発売は2006年と、ちょっと前。「ガラパゴス化する日本の製造業」を読むうちに、こちらも面白そうと読んだ本。

”「失われた十年」を乗り切った自動車産業”と”自ら不況を招いた家電・電子産業”とを、章立てレベルで明言している。そこが結構、小気味良い。

海外に進出した中小企業も登場したり、タイやマレーシアの動向などにも書かれている。また、この本でも、”すり合わせ”の技術に触れており、その分野でアメリカ製造業は地位低下したと述べている。

この本では、アングロアメリカン型の考えに批判的な部分も少なくない。株主価値を前提としたコーポレートガバナンスなどである。そんな部分も参考になった。

12月 31, 2010 ソフトウェア, ソフトウェアテスト, プロジェクトマネジメント, プロジェクト管理, 日記・コラム・つぶやき, 書籍・雑誌, 電子ブック |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/123469/50493294

この記事へのトラックバック一覧です: 2010年雑記:

コメント

コメントを書く