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2011年4月 8日 (金)

「はやぶさ、そうまでして君は」

昨年の年末には購入して、しばらく積ん読状態。2ヶ月近く前に読み終わった。そういえば感想を書いてなかったと思い、メモのつもりで記載。

「はやぶさ」のプロジェクトリーダー、川口淳一郎氏によるもの。

多少淡々と「はやぶさ」のプロジェクトのことが述べられており、熱狂的な”奇跡の生還”みたいな書き方とは一線を画す。個人的には、この方が冷静にプロジェクトのことを知ることができて有益だった。

プロジェクトスタート時の、成功するか失敗するか判らないような状況。ちょっとしたきっかけなどでのプロジェクト承認。場合によってはハッタリ。そうはいっても、いくつもの難関とか挫折。先覚的な商品化とかシステム化や、一般的なそれらでも遭遇しそうな事が発生している。

印象的だったのは「『尻を叩く』よりも『どこで手綱を引くか』を考えることが多かったと思います。」。(P64) 一般的なプロジェクトでも、管理/監査みたいなことが主目的になってしまうことがある。現場の創意工夫に気づくことも必要だ。

サンプル採取に関するトラブル(ソフトウェアトラブル)にも、多少ページが割かれている。P145~。ニュース等で、プログラムのダウンロードミス(番号違いの類)のように思っていたが、内部の処理は複雑にできており単純なダウンロードミスとは言えなさそうに感じた。 しかも本失敗が判明したのは、直前に着陸成功の発表をしたばかり。本にはこの辺りの苦悩の様子が書かれている。さらに言えば、その後の通信途絶、その復帰のための予算獲得の活動が必要で、その対応も参考になった。。

ちなみに、通信復帰のためには周波数を網羅的に探索しなければならないが、搭載している水晶発振器の温度の予想を立てて範囲を求めたとのこと。温度は、温度制御が上手く働いてないことを想定しての範囲算出。 この類の話がこの本には多く、場当たり的な復旧作業でなかったことが判る。データに基づく作戦立案。ソフトウェアでのトラブル対策でも参考になろう。ロジックやテストデータがない状態の危険性を、肝に銘じておくべきと考える。

リチウム電池の復帰(補充電回路)の部分では、補充電回路がOnになったことが不思議と。P170~。 Onにするプログラムは入っていなかったそうだ。 当時のニュースと若干違う気もするが、まっそんな事もあるんだろう。

また帰還の際には、”太陽光圧”も利用したそうだ。P169。しかも姿勢制御プログラムの変更も対応したと。 なお、今になって詳しく調べたら、イトカワに向かう際にも太陽光圧(太陽輻射圧)のことは検討されていたようだ。

http://www.muses-c.isas.ac.jp/j/index_26.html

この本には、プロジェクトチームの洒落っ気というか遊び心にもいくつか触れている。

・イトカワの粘土細工コンテスト P117など
・はやぶさにちなんだ運用室暗証番号 P118
・カプセルに貼り付けたメンバーのカード P8(写真)、P208

自分の持論みたいで悪いが、うまく行ったプロジェクトには宴会とか上のような遊び心がつきものだ。(主要なメンバー構成で、だいたい成功/不成功は決まるように思う。) はやぶさのプロジェクトでは、「そんなことまでやったのか~」と知り、ちょっと楽しくなった。

また最後の方には、「二番ではダメなんですか?」、一番と言い続けるアメリカ(NASA)、そしてリスクとの関係についての考えが述べられており、参考になる。既に述べた事などを含め、プロジェクトのケーススタディーとして非常に有益な本と言える。

4月 8, 2011 書籍・雑誌プロジェクトマネジメントプロジェクト管理 |

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