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2011年5月 7日 (土)

災害におけるIT ~ゼロからの視点~ 2(災害種と予知)

今回の震災では地震・津波がクローズアップされているが、そもそも災害って何かと考えてみる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%BD%E5%AE%B3

災害対策基本法第2条:暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発、その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害

国民保護法第2条第4号:武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害

と言ったところだろうか。関連する用語や想像できる用語としては、他に、台風、雷、ゲリラ豪雨、テロなどが思いつく。

これらの法律で、少し微妙なのが”感染症”(具体的にはインフルエンザ)。ネットにあるドキュメントや書き込みの類では、大流行すれば災害対策基本法が適用されるだろうとの意見/要望が多いと思う。逆に口蹄疫や鳥インフルエンザなどは、昨年の宮崎の例などでも災害対策基本法には該当しそうにない。(ちなみに、自衛隊の派遣依頼根拠は別法律。またインフルエンザ等は、”パンデミックBCP策定”などで企業にとっては馴染みになってきている。)

次に災害の規模を俯瞰してみる。20世紀以降の国内次元では、地震/津波での被害死者行方不明者は、関東大震災10万人を筆頭に東日本大震災、阪神淡路大震災、福井地震、1933年三陸地震津波と続く。(地震規模は、関東大震災がM7.9、東日本大震災がM9.0。ちなみに世界最大の地震規模は1960年5月発生のチリ南部地震でM9.5。)

http://homepage2.nifty.com/GmaGDW/grw/wdr/wdr007.html#002

発生時刻は、阪神淡路大震災が6時前の早朝、1933年三陸地震津波が深夜2時、三河地震が深夜3時などのように深夜や早朝もある。

なお、損保での保険金ベースの金額では、台風被害の方が大きい。

http://www.sonpo.or.jp/archive/statistics/disaster/

上記だと、阪神淡路大震災の783億円に対して、1991年の台風19号では5,679億円。あくまで損保の保険金ベースであるが、台風による被害も大きな事が分かる。

また、1918年のスペイン風邪では日本でも死者39万人近くが犠牲になっているが、犠牲者数としては関東大震災の4倍近いことは特筆に値する。他に1934年の伊勢湾台風、1945年の枕崎台風、 1959年の伊勢湾台風は、3千人、4千人弱、5千人といった死者行方不明者を出しているし、1963年豪雪での死者231人など地震以外の犠牲者も少なくない。

ちなみに、38豪雪(1963年豪雪の俗称)の国鉄による記録映画が、ニコニコ動画にアップされておりURLを紹介しとく。「豪雪とのたたかい」。ちなみにURLは、その前半。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm5257212


これらを考えると、防災のためには各防災に対する予知能力を高めて、的確に国民に通知する必要がある。ただし、具現化するとなると結構難しいポイントも浮かび上がる。

・災害の種類が多彩。それぞれの予知方法の確率や予知能力や精度向上。

台風は2,3日前にはある程度の予報が出せるが、地震となると数秒程度前の警報発信がやっとである。竜巻やゲリラ豪雨のように、予報としてはまだまだ課題の多い分野もある。

・予知のロバストネス化。

今回の地震/震災で特徴的だったのは、地震観測地点すら被害に遭っていたこと。また、地震計の針が振り切れてしまい、震源地や規模の予想の手間取ってしまったようだ。それにより津波の予想も的確にできず、目視での情報をもとに津波の高さなどを補正したらしい。

(釈迦に説法だろうけど、震源地とかはいくつかの観測地での揺れのデータをもとに推定することになる。そもそも観測地での揺れデータが無かったり結果的に不正確な値なら、予想も狂ってしまう。ちなみに、海外からのデータなど参考にして予測値を補正する処理には時オーダーの時間がかかるらしい。また、11日の14時46分以降の30分間に震度5弱以上の地震が計8回起こっていたと4月に発表があった。それくらい解析には難しい面があったり、時間がかかるという認識は必要だろう。個人的には、コンピュータ能力も気になってしまった。)

今回の地震では、福島県の「おおたかどや山」標準電波送信所が被害にあって、電波時計など向けの電波の送信が停止している。福島原発の近くということもあって、すぐには復旧しそうにない。佐賀にも同様の電波送信所があるとか、最近の電波時計はどちらの電波でも受信できるタイプが多く、時計自身の自走もあるので、大きな問題にはなっていないようだ。(おおたかどや山の送信所は、一時復旧したが、4月下旬に落雷で停止したとのこと。)

また、福島原発の事故の際には、放射線量の測定時に針が振り切れてしまって慌てて引き返した事も発生した。さらには当初から放射線計測機器に被害が発生して、モニタリング自体が不能に近い状況になっていた。

これらのことを考えるに、そもそも(複数用意していたとしても)計測ポイントが欠落することや、それに応じたアナウンスなどの方法も検討が必要である。ざっくばらんな言い方をすれば、計測できないほど被害がひどいことを述べた方が避難等に有効になるかもしれない。(パニックに陥ることを避ける必要はあろうが。) ちなみに、今回の原発事故では離れた箇所での計測や海外での観測データが役立っていることを考えれば、放射能に限らず、洋上や大気中を含めた計測データ収集は今後必要性が高まるだろう。

また計測ポイントの複数化の見直しや、計測機器に対するエネルギーや通信手段の複数確保なども課題となるだろう。

・多岐な警報発信の必要性。

従来から、これら警報は、複数の媒体での提供が普通である。TVばかりでなく、自治体による防災警報や携帯電話などのような技術革新に応じての対応も必要となる。(昨今でのこの類のシステムでの代表は、J-ALERTと呼ばれる消防庁による全国瞬時警報システムかもしれない。ちなみに、J-ALERTの導入当初のトラブルに関しては、日経コンピュータ2010年4月14日号「動かないコンピュータ」のコーナーに詳しいので参考になろう。また今回の震災発生は3月で、J-ALERTを4月から導入する予定だった自治体も少なくなかった。さらには、震災後も自動転送にしていない自治体もあるようで、それらを含めての考察は必要と考える。)

今回の震災では、携帯電話が通じなかったり基地局や自治体ですら被害になっているケースもある。それらを考えると、さらに強固な連絡方法や多重の手段を講じておくべきである。

・多岐な警報受信。

視覚障害や聴覚障害の人たちへの手段も用意すべきだし、電波の届かない状況での対応も検討が必要である。一般的には電波が届かないケースは少ないと思われるだろうが、例えば劇場とか試験会場で携帯電話が電源Offになっているケースなどがあり得る。2011年地デジ移行ではTVの映らない家庭が一時的には増えるだろう。また、今回での電話基地局の被害を考えれば、TV電波中継局の(例えば落雷などによる)被害を想定しておくことは悪くないだろう。 (注意:4月20日に、震災3県の地デジ移行は先送りする方向になった。)

一方で、警報受信のために(更に)多くの機器が必要になることは、国民にとっては芳しくない。TVに地震や台風の情報が映るように、警報装置や携帯電話での通報サービス、いろんなタイプの警報が受信できるなどは検討すべきと考える。

5月 7, 2011 テクノロジー, 日記・コラム・つぶやき |

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